日常と夢

日常と夢

 

大学時代の知り合いが、「おいしいおまんじゅうだよ!今度買いに行く!」と、おまんじゅうの写真とともに、売っているお店のことをTwitterに書いていた。

私はなんとなく流れてきたタイムラインでその呟きをみて、すごく美味しそうだなあ、と感心する。

 

それからそんなに日を空けずに帰省した。

祖母の家に行くと、近所に老舗の饅頭屋さんがあるという話が出た。

母はその店のおかみさんが子供だった頃から知っているという。

祖母と母は、「(おかみさん)ちゃんは幼馴染の○○くんと結婚するとき色々あったけど、今は幸せそうね」と口を揃えて言った。

 

私はそのお店に行くことにした。母に言うと、お店とおかみさんの自宅は別に構えてあり、行くならお店に行くより、おかみさんちに直接遊びに行く方が良いという。昔のよしみで何かあるのかもしれない。私はお宅の方へ行ってみることにした。

 

おかみさんのお宅はすごく大きかった。しっかりした作りの日本家屋だった。インターホンを鳴らすとおかみさんが出てきた。(母)の娘ですと自己紹介すると、快く家に入れてくれた。

代々伝わるおまんじゅう屋さんで、一人娘だったので跡をついだという。上品な感じの女性だ。

せっかく来たのだからと、おまんじゅうを出してくれた。

私はそれを見て驚いた。知り合いがTwitterに書いていた饅頭屋はここだったのだ。

饅頭は一口サイズで、皮の色が白、緑、うす桃色だった。

私はすぐにTwitterで返信した。

なんと知り合いも偶然同じタイミングで帰省しており、今からこちらに向かうという。しかもおかみさんは、知り合いの叔母らしい。

知り合いは、あと二時間もせず到着するという。

私は知り合いが来るまで、おかみさんととりとめなく話をした。

おかみさんの旦那さんは、饅頭屋の近所の家の子だった。幼馴染でずっと仲良く遊んで育ったという。

そんなに活発ではないが優しい人のようだ。

なんとなく男らしさが感じられない旦那さんとの結婚を、周囲には反対されたという。

しかしおかみさんが懸命に説得して、結婚できたらしい。今でも幸せだという。それはおかみさんの表情や雰囲気からも見てとれた。

 

知り合いが到着して、こんな繋がりがあるなんてすごい偶然だよねと盛り上がった。

世間は狭い。

お土産としてその店の饅頭が買いたくなったので、帰りに店舗の方へ寄ることにした。

老舗らしく立派な店構えで、主力商品の饅頭の色をのぼりにしている。(白、緑、うす桃色とあと一色あったが見えなかった)

おかみさんに挨拶をして家に帰ることにした。

おかみさんは終始幸せそうだった。

店舗の裏口側の道路を渡ると、祖母の家の玄関が見えた。